広報室取材レポート(第1号)十和田で枝肉牛研究会開催
2017年12月13日
広報室取材レポート
▲▽【 平成29年12月13日 第1号 】▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲
十和田で開催された枝肉牛研究会の取材報告
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日本飼料工業会
広報室:武馬
(一社)青森県配合飼料価格安定基金協会(以下「青森県基金協会」という。)は平成29年12月1日、十和田市食肉センター(青森県十和田市)において「平成29年度青森県配合飼料基金枝肉(牛)研究会」を開催しました。広報室にて同研究会を取材したので、研究会の概要をレポートし、同基金協会の活動を紹介いたします。
1.研究会の概要
(1)出品頭数(出荷者数)
❏乳用種15頭(出荷者5者)、❏交雑種15頭(出荷者9者)
(2)条件
ア 出品牛の生後月例は概ね18ヶ月以上
イ 出品牛は、青森県内において、概ね12ヶ月以上飼育したもの
ウ 出品牛は、品種証明書のあるものとし、出荷報告書に添付する
この他、全国開拓農業協同組合連合会十和田販売事務所を通じて出品牛全頭
を販売するものとする。
当日9時から4名の審査員(※)により枝肉審査が行われた。
(1)チャンピオン賞
❏交雑種 金子ファーム(七戸町)
(2)優秀賞
❏乳用種 川村畜産(十和田市)、❏交雑種 金子ファーム(七戸町)
(※)(公社)日本食肉格付協会 十和田事業所 高橋所長
伊藤ハム㈱ 食肉事業本部 国内食肉本部 国内ビーフ部 岸田部長
十和田ミート㈱ 野々宮社長
全国開拓農業協同組合連合会 東日本支所 青森事業所 本多所長
3. 擬賞状況
チャンピオン賞と優秀賞には、県知事賞のほか、多数の協賛団体から各々の賞が授与
された。日本飼料工業会からは「日本飼料工業会賞」として賞状及び副賞を授与。
【 擬賞一覧 】
❏チャンピオン賞
① 県知事賞、② 基金協会理事長賞、③ 日本飼料工業会賞、
④ ジャパンビーフ農業協同組合長賞、⑤ 十和田食肉センター賞、
⑥ 青森県獣医師会長賞、⑦ みちのく銀行賞、⑧ 青森銀行賞、
⑨ 青森県全日本畜産経営者協会長賞
❏優秀賞
① 基金協会理事長賞、② 日本飼料工業会賞、③青森県畜産協会長賞
④ 十和田食肉センター賞、⑤ みちのく銀行賞、⑥ 青森銀行賞、
⑦ 青森県全日本畜産経営者協会長賞
この他、飼料荷受組合長賞が授与された。
雪印飼料荷受組合長賞、ノーサン飼料荷受組合長賞、マルナカ飼料荷受組合長賞、
日清丸紅飼料荷受組合長賞、ニチワ飼料荷受組合長賞
4. 受賞者のコメント
❏金子ファームの金子吉典さん
チャンピオン賞を取れるとは思っていなかった。いつかは取りたいと思っていたの
で、よい結果が出て大変うれしく思います。素牛価格が高騰するなか、金子ファーム
グループとして整備してきた酪農部門で生まれた子牛を自社農場で肥育してきた。こ
の取組みから結果が出たこともうれしく思っている。これからも飼養管理技術の向上
に努め、継続してうまいお肉を生産する肉牛を肥育していきたい。
❏川村畜産の川村社長
何年も出品してきたが、今回が初めての受賞で喜んでいます。岡部肉牛生産部長に
頑張ってもらった結果であり、感謝しております。肥育は増体を一番と考えおり、飼
料給与内容の改善と肉質の向上に努めてきた。これからも情熱をもって、また愛情を
をもって、肉牛を肥育していきたい。
5. 審査委員長の講評
❏日本食肉格付協会の高橋所長
【乳用種の格付結果 】
すべての出品牛の平均が、重量483.6㎏、ロース面積43.7㎠、バラ厚6.3㎝、
皮下脂肪2.2㎝と平成28年度の全国平均を上回った。出品牛の歩留等級は、
B等級8頭、C等級7頭であった。
優秀賞を受賞した川村畜産の牛は、バラの厚みがあり、BMS(※1)が3、
BCS(※2)が4で、B-3に格付けした。
【交雑種の格付結果 】
すべての出品牛の平均が、重量527.9㎏、ロース面積58.3㎠、バラ厚7.6㎝、
皮下脂肪2.0㎝と平成28年度の全国平均を上回った。枝肉重量の600㎏超が
3頭、最重量は653㎏と大型化している。出品牛の歩留等級は、A等級6頭、
B等級9頭であった。
チャンピオン賞を受賞した金子ファームの牛は、外観もよくバラの厚みが
あり、切開面のロース面積は70㎠を超え和牛クラスであった。BMSが6、
BCSが3で、A-4に格付けした。
優秀賞を受賞した金子ファームの牛は、歩留が71.8(※3)と0.2ポイント
足りず歩留等級をBとした。バラの厚みがあり形状もよくバランスがとれた
枝肉であった。BMSが5、BCSが3で、B-4に格付けした。
(※1)肉質等級の一つ、脂肪交雑(霜降り度合)の区分
(※2)肉質等級の一つ、肉色及び光沢の区分
(※3)枝肉から部分肉(枝肉を分割したロ-ス、ヒレ等のブロック状の肉)
が取れる割合(歩留)の区分
<A等級72%以上、B等級69%以上72%未満、C等級69%未満>
牛枝肉取引規格の詳細については
(公社)日本食肉格付協会のHPをご覧ください。
http://www.jmga.or.jp/standard/beef/
6. 主催者に伺う
(1) 枝肉(牛)研究会開催の経緯
ア 枝肉(牛)研究会は、青森県の食肉流通の基幹施設である十和田食肉センターに
における肥育牛取扱頭数の増大と、地域肉用牛の銘柄確立を図ることを目的に、平
成15年度から青森県基金協会の独自事業として開催。
イ 事業実施の背景は、商系生産者を中心にした長年の要望であった、十和田食肉セ
ンターを「肉用牛売却所得の免税制度」の農林水産大臣認定市場にするための取り
組みの一環として始まったもの。
(2) 同研究会の歴史を踏まえて
ア 関係者一丸となった取り組み努力により、平成16年6月に十和田食肉センター
が認定市場に認められ、地域生産者の肥育牛飼養意欲向上の契機となった。
イ 日本飼料工業会(※)はじめ多数の関係機関・団体から支援を受けながら開催さ
れ、今回が15回目の開催。現在では肥育技術研鑽等のための地域イベントとして
定着し、生産者の大きな励みとなっている。
(※)平成17年度から協賛している(広報室)
【 青森県基金協会 由良参与談 】
肉牛生産者の皆さんには当研究会で勉強しながら、今後も競っていい牛の出品をお願
いしたい。日EU・EPAやTPPなどで畜産を取り巻く環境も厳しくなってくる。肉
牛生産者において牛を飼っていればよいという時代ではなくなってきている。金子理事
長は全日畜(畜種横断の商系畜産生産者の団体)の会長でもあり、これら貿易交渉によ
る関税引き下げの影響を受ける畜産経営者に対する経営安定対策をしっかりと講じてい
ただくよう、先頭に立って、農水省等に働き掛けに出向くと伺っている。事務局として
理事長(会長)を支えていきたい。
7. 取材を終えて
(1)今回チャンピオン賞の栄誉を得た㈲金子ファーム(七戸町)は、乳用種を中心に交
雑種、和牛等で1万1千頭を超える肉用牛を飼養し、県境を越えて岩手県にも牧場を
持つ全国有数の肉牛肥育農家である。北海道からの子牛導入に加え、最近では、金子
ファームグループとして野辺地町に大規模酪農施設を整備して、同施設で生まれた子
牛を自社農場で肥育する一貫経営にも乗り出したと伺った。搾乳牛は約1,200頭
の規模まで拡大したとのこと。過年度、金子ファームは全国規模の肉牛共励会にて農
林水産大臣賞を取るなど肥育技術に優れた農場である。
乳用種で優秀賞の栄誉を得た㈱川村畜産(十和田市)は、過去何度も出品してきた
が今回が初めての受賞とのこと、川村社長の喜びもひとしおのようだ。
(2)金子ファーム社長の金子春雄氏は、青森県基金協会理事長、青森県全日本畜産経営
者協会(青森県全日畜)会長、東北全日本畜産経営者協会(東北全日畜)会長及び全
日本畜産経営者協会(全日畜)会長など多くの公職についており、地域のリーダーの
みならず、全国の商系畜産経営者のリーダーでもある。
その金子理事長(会長)を支えるのが事務局を担っている丸井専務と由良参与だ。
経験豊かな事務局として、地域の行政機関や団体との連携、また全国の商系諸団体と
も連携を深めることで、地域の商系畜産生産者の経営安定に資する様々な活動が今後
も継続することと思う。他地域の商系組織とともに発展することを願う。
8. 地元新聞2社の取材について
当枝肉(牛)研究会は、地域イベントとして定着しているとの主催者コメントにある
ように、地域の肉牛生産者の関心も高く、当日は地元新聞2社の取材があった。
両紙ともに、肉質の審査の結果、チャンピオン賞(最高賞)に金子ファームが出品し
た交雑種(去勢)が、優秀賞には川村畜産が出品した乳用種(去勢)と金子ファームが
出品した別の交雑種(去勢)が選ばれた旨の記事を掲載した。
(1)12月2日付の「東奥日報」
「金子ファーム(七戸)最高賞、十和田で枝肉牛研究会」と題して取材記事掲載
(2)12月4日付の「デーリー東北」
「チャンピオン賞に金子ファーム(七戸)、県配合飼料基金枝肉研究会」と題して
取材記事掲載
9. 資料編(下記をクリックして資料をご覧ください)
❏写真
ア 枝肉展示状況
イ 協賛各団体の賞
ウ 表彰式
以上
【 文責:広報室 武馬 】