1分でわかる「GMP」講座



畜産飼料工場においての「GMP」とは?
「畜産物の生産者が、安心して配合飼料を家畜に与えられるように、配合飼料の製造会社が行うべきこと」を自らまとめたルールです。
GMPには、配合飼料の安全性を向上させるための4つの仕組みがあります。
【飼料の安全性を向上させる「GMP」の4つの仕組み】
- ①人による間違いを最小限にする仕組み
- ②有害物質の混入や、品質が低下することを未然に防ぐ仕組み
- ③決められた品質を、安定して保つ仕組み
- ④万が一問題が起こったとしても、きちんと検証ができる仕組み



なぜ、配合飼料の製造会社がGMPを導入する必要があるの?
もっと具体的に教えてください。


はい^_^
まず、配合飼料の原料(トウモロコシ、ムギなどの穀物)の多くは外国から輸入されていますが、これらの原料を通して国内の畜産農家が育てている牛、豚、鶏などの体内に有害な物質や病原性のある微生物が混入してしまう可能性があります。
実際には、ここ数年来、違反事例は1件もありませんが、より高度な管理を行うことでより安全性を高め、効率的で高度な管理を行うことが目的です。つまるところ!飼料原料の輸出国の生産状況(害虫の発生状況や農薬の使用実態)について情報を把握し、未然にリスク回避するのです。


わかったわ!まずは外国から輸入した原料の段階で問題がないかを
事前にチェックするのね!
・・・とすると、普段はどうやって安全性を確認しているの?


はい、良い質問ですね^_^
GMPが導入されると、配合飼料の製造会社は、原料の段階で安全性が確認されたものを使って配合飼料を製造します。配合飼料が製造される前の段階で、有害物質が混入する可能性を絶ってしまえば、配合飼料の中に有害物質は混入しない、ということです。
これにより、配合飼料の段階で問題が見つかった時には、家畜がすでに問題のある配合飼料を食べてしまっていたり、その畜産物を人が食べてしまっていた!という事態も防げます。勿論、万が一に備え、通常は配合飼料ルールに基づきモニタリングすることで配合飼料全体の安全性も確認します。また、農林水産大臣の委任を受けた農林水産消費安全技術センター(通称FAMIC)の立入検査も行われ、検査結果はすべて公表されます。


なるほど!GMPによって、国内の畜産物がより安全になるということね。
畜産生産者は勿論、消費者の信頼も高まる配合飼料のGMP導入に
様々なメリットがあることがよくわかったわ!
GMPについてのまとめ
GMP(飼料の適正製造規範)とは、どのようなものなのですか?
生産者の方々が、安心して配合飼料を給与できるよう、配合飼料製造会社が行うべきこと
を、自らまとめたルールです。
具体的には、
① 人による間違いを最小限にする仕組みです。
② 有害物質が混入や、品質が低下することを未然に防ぐ仕組みです。
③ 決められた品質を、安定して保つ仕組みです。
④ 万が一、問題が起こったとしても、きちんと検証ができる仕組みです。
なぜ、GMPを導入するのですか?
畜産物の安全性を確保するためには、
配合飼料の安全性を確保することが必要です。
配合飼料の安全性を確保するためには、飼料原料の安全性の確認が必要です。
そのため、平成28年度から配合飼料のGMP認証制度が始まる予定です。
*農林水産省消費・安全局長「飼料の適正製造規範(GMP)ガイドラインの制定について(平成27年6月17日・27消安第1853号)」が発出されています。くわしくはこちら(外部サイトへリンクします)
*農林水産大臣の委任を受けた農林水産消費安全技術センター(FAMIC)による立入検査が毎月70件程度行われていますが、平成26年7月以降、1件も違反事例はありません。くわしくはこちら(外部サイトへリンクします)
*GMPよりも厳しい管理を行うISO22000取得済みの配合飼料製造工場は7工場に達しています。
すでに、飼料の製造に関わるすべての輸入、輸送・保管業者、原料製造業者、配合飼料製造業者が連携し、GMPに取り組む準備を始めています。
GMPはISOと何が違うのですか?
ISO22000:2005は世界の民間団体が取り決めた「食品安全マネジメントシステム」で、HACCPシステムの原則とCodex(FAO/WHO合同食品規格委員会)が示した7原則、12手順を計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Act)のサイクルにより継続的に改善を続けるための規格です。
GMPはISO22000のPRP(前提条件)に相当します。
つまり、GMPはISO22000の導入に向けての第一ステップに相当します。
2016年には、新たに飼料版のISO22002-
ができる見込みで、将来的にはこれらの規格に準拠する形で飼料の安全性が管理できることが望ましいといえます。
現時点では、業界全体としてGMP導入が始まった段階ですが、
すでに配合飼料製造工場の約半数は「抗菌剤GMP」認証を受けており、
1/3がISO9001を取得済み、ISO22000の取得も始まっている状態で、配合飼料製造業者がこの流れを牽引しています。
<ISO9001取得済みの飼料製造会社>
仙台飼料・八代飼料・苫小牧飼料本社・西日本飼料・豊橋飼料・道東飼料・釜石飼料・フィードワンホールディングス(協同飼料・門司飼料・日本配合飼料中央研究所)・雪印種苗・日本農産工業・中部飼料・亀屋商事・明治飼料鹿島工場
<ISO22000:2005取得済みの飼料製造会社>
日清丸紅飼料・日本配合飼料(関西工場)
<ISO14001取得済みの飼料製造会社>
明治飼糧
<ISO/IEC17025取得済みの飼料製造会社>
協同飼料(飼料中の栄養成分分析)・日清丸紅飼料(粗たん白質・サルモネラ)・中部飼料(サルモネラ・かび毒)
<GMP+B2取得済みの飼料製造会社>
亀屋商事
<抗菌剤GMP>
伊藤忠飼料・八戸飼料・鹿島飼料・釜石飼料・九州昭和産業・協同飼料・ジャパンフィード・志布志飼料・清水港飼料・中部飼料・道東飼料・東北飼料・とかち飼料・苫小牧飼料・豊橋飼料・日和産業・日清丸紅飼料・日本農産工業・日本配合飼料・みちのく飼料・明治飼糧・門司飼料・八代飼料・
GMPを導入することで何が変わるのですか?
配合飼料の生産量は年間約2,400万トンです。
仮に、20フィート型のコンテナ(長さ約6m×幅約2.4m×高さ約2.6m)に配合飼料25tを詰め込み、横にズラリと並べると約5,760kmになります。ざっと関西空港からからロサンゼルスまでつながる距離です。
膨大な量の配合飼料からまんべんなくサンプルを採取し、分析するためには膨大な時間と費用がかかります。しかし、分析し終える前に畜産物が消費されてしまうようでは、分析することの本来の意味が失われてしまいます。
結局、配合飼料の一部のサンプルをモニタリングすることになり、代表サンプルにより配合飼料全体の安全性を確認することになります。
*勿論、代表サンプルによる分析でも十分に安全性は確保されています。
そこで、GMPを導入し、配合飼料の製造段階では、原料の段階で安全性がルールに基づいてきちんと確認されたものだけを使うように改めます。また、原料段階でも、輸出国における生産状況(天候、害虫や水害の発生状況=農薬の管理状況)について情報を把握し、未然にリスク回避します。
こうした一連の対応により、原料段階で安全性に問題が確認されれば、当然、飼料原料としては使用されず、配合飼料の安全性は確保されます。また、万が一、後になって原料段階に問題が確認されたとしても、家畜に供給される前に配合飼料の段階で未然に食い止めることができます。
つまり、飼料の製造に関わるすべての輸入、輸送・保管業者、原料製造業者、配合飼料製造業者がそれぞれの段階で、安全性を確保する取組みを強化することで配合飼料の安全性は従来に増して高まります。
「安全飼料製造規範」とは何ですか?
① かつて、飼料業界では、問題が起こった事象ごとに行政の指導に基づき、モノ別のガイドライン(サルモネラ・BSE・抗菌剤)により対処してきました。
② モノ別のガイドラインは、業界全体で問題に集中的に取り組むことができるため、初期の段階では有効です。
しかし、平成20年に「飼料等への有害物質混入防止ガイドラインの制定について(平成20年3月10日・19消安第14006号):以下『有害物質混入防止ガイドライン』」が発出されたことで、最終製品の分析により安全性を確保する管理から、飼料原料の安全性を確認する工程管理が導入されました。
さらに、一度に多くの有害物質の混入を防止する取り組みが始まると、モノ別ガイドラインによる取り組みと並行して安全性を管理することはムダが多く、混乱を招きかねない状況でした。
③ そこで、日本飼料工業会としては、モノ別ガイドラインを統合し、有害物質(残留農薬・かび毒・重金属)、サルモネラ、BSE、抗菌性物質の管理を一元的に管理することで、より効率的に、効果的に管理することとし、平成24年に「安全飼料製造規範」を先駆けて自主的に策定しました。
④ その結果、「安全飼料製造規範」は平成27年6月に農水省が通知した「GMPガイドライン」のベースになっています。
日本飼料工業会はどのような取り組みをしているのですか?
① 平成15年に「食品安全基本法(平成15年法律第48号)」が制定され、飼料等の輸入業者、飼料製造業者は食品関連事業者としての責務を果たすことが義務付けられました。
② しかし、配合飼料の原料となる飼料原料の多くは輸入品で、産地国によって安全性の基準も管理の方法も異なります。そのため可能な限り飼料原料の段階で有害物質の混入や病原性微生物の汚染を確認し、確認済みの原料だけを使用して配合飼料を製造すれば、配合飼料の安全性は格段に向上します。
③ そこで、飼料原料の輸入、輸送・保管、製造に関わるすべての事業者の方々は、取り扱っている飼料原料の安全性を評価した上で、完全性を管理する方法を示した「有害物質混入防止ガイドライン」に基づく「管理状況報告書」を日本飼料工業会宛てに提出しています。
④ 日本飼料工業会は、「管理状況報告書」を収載した「工業会ファイリングシステム」を運用し、組合員の飼料製造業者は「工業会ファイリングシステム」をもとに、飼料原料の安全性が、きちんと確認済みかどうかを確認しています。